7

サ行

「ダイレクトメールが届くかぎり
きみは生きている」と
ウチの天使は言います
せわしげに
ダッチワイフにネクタイを締めてあげながら
「だから
せいいっぱい働きなさい」
とぼくに言うのです
「あ」
ネクタイを強く締めすぎて首がちぎれたようです
天使はキレて
小便をしながら
優雅に飛んでいきました
二度と戻ってきませんでした

6

サ行

小泉純一郎は
あんなにマシリトに似ているのに
総理です
ぼくはマシリトが嫌いです
マシリトの
前歯をハンマーで叩き割りたい
マシリトの
爪をはぎたい
マシリトの
頭をサッカーボールみたいに蹴りたい
などと思います
石破元防衛庁長官は
かわうそ君に似ています
ぼくはかわうそ君は嫌いではありません
石破は嫌いです
こんな好き嫌いをしていると
ドラマのヒロインみたいな人には出会えずに
自動販売機とばかり
ジャンケンをすることになるのです

5

サ行

お母さんの似顔絵を
たのしく書いていたら
窓をやぶり憲兵が四人なだれこんできた
「お前、落書きしたな」
「ウィニーもやったな」
「さぼったな」
「騒音おばさんだな」
お母さんはこっちを見ないようにして
青ざめた顔で
たまねぎを切っている
ぼくは悲しくなって
「たのしいなんてほろびればいいのに」
とつぶやきました
すると
植草教授にそっくりの憲兵が答えた
「おまえで最後だ」
ぼくは連行されていきます
たのしいは
終わります
みかんの皮をむいたり
好きなひとを抱きしめたりできません
そんなもの
もう絶滅したのです
たのしいが
ほろびたのです
だから
騒音おばさんは
殺人犯より
世間的に罰せられるのです

2

サ行

成績を上げろと言われます
そういう人は
落ち葉が土に還る十年後もそう言うのです
ぼくはわかりました
成績じたいに意味はない
それが
あがったりさがったりすることに意味があると
さがると
ぼくが死に
あがると
あなたが死ぬ
落ち葉は土に還るというのに
ぼくとあなたは
「あ」と「さ」のちがいだけで
なにをしているかといえば
目標をもって
夢や希望にむかって
歯を食いしばって努力して
心をこめて
殺しあっている